棚田について
棚田とは
山麓部や丘陵地などの山と山との間の傾斜地に階段状に作られた水田を一般に「棚田」と呼んでいます。棚田は、中山間地域の中でも標高の高いところに多く、私たちの先祖が機械もなかった時代に想像も出来ないほどの時間と労力をかけて一枚一枚切り開き、そして長年守り継いできた文化遺産とも言うべきものです。
棚田が、水を溜め、地下にゆっくりと浸透させるおかげで、平野は洪水や水不足から守られているのです。
棚田の役割
棚田地域は、中山間地域の中でも最上流部に位置し、生産の場としてだけでなく、国土や環境の保全、また、美しい景観形成などの多面的機能を有しています。
- 食糧生産
- 洪水防止機能
- 地下水かん養機能
- 水質浄化機能
- 生態系保全
- 景観形成
- 気温調節
日本の棚田百選
目的
我が国の中山間地域に広く分布する棚田は、その立地条件を活かした特色ある農業生産の場として国民生活に寄与しているのみならず、急崚な地形を巧みに利用した農業生産活動を通じて、国土・環境の保全、農村の美しい原風景の形成、伝統・文化の継承等多面的な機能を発揮しております。
このように棚田は、国民の健康的でゆとりある生活を確保する上からも大きな役割を果たしていることから、農林水産省は、多面的な機能を有している棚田について、その保全や保全のための整備活動を推進し、農業農村に対する理解を深めるため、優れた棚田を認定することとしました。
選定の考え方
「日本の棚田百選」の選定にあたって
- 営農の取り組みが健全であること
- 棚田の維持管理が適切に行われていること
- オーナー制度や特別栽培米の導入など地域活性化に熱心に取り組んでいること
以上を基準とし、各県から推薦を受けた棚田の中から学識経験者により構成される「日本の棚田百選」選定委員会により選定されました。
これを受けて農林水産省は平成11年7月26日に「日本の棚田百選」134地区(117市町村)の認定を行いました。
鹿児島県内の棚田百選選定地区
鹿児島県内では、下記の3箇所が日本の棚田百選に選定されております。
- 薩摩川内市入来町 内之尾の棚田
- 南九州市頴娃町 佃の棚田
- 湧水町 幸田の棚田
つなぐ棚田遺産~ふるさとの誇りを未来へ~
目的
日本の棚田の多くは、長い歴史を有し、国民への食料供給にとどまらず、国土の保全、良好な景観の形成、伝統文化の継承等に大きな役割を果たしてきました。こうした多面的な機能を有する棚田について、その保全活動を推進すること等を目的として、農林水産省は、平成11年に、優れた棚田134地区を「日本の棚田百選」として認定しました。
認定から20年以上が経過している昨今、棚田地域では、担い手の減少や農家の高齢化等により従来のような保全活動が難しくなり、棚田の荒廃の危機に直面しています。
このような中、令和元年には、待望の棚田地域振興法が施行され、その趣旨に基づき、着実に、棚田地域の振興に向けた取組が広がっています。
そこで、農林水産省では、棚田地域の振興に関する取組を積極的に評価し、国民の皆さまに、棚田地域の活性化や棚田の有する多面的な機能に対するより一層のご理解とご協力をいただくことを目的として、改めて優良な棚田を認定する取組(「つなぐ棚田遺産~ふるさとの誇りを未来へ~(ポスト棚田百選)」)を実施。
選定の考え方
「つなぐ棚田遺産~ふるさとの誇りを未来へ~」の選定にあたって
条件1 下の要件を満たす棚田であること
- ・積極的な維持・保全の取組がなされ、今後も継続される見込みがあること
- ・原則として、勾配が1/20以上の一団の棚田が1ha以上あること
- ・棚田を含む地域の振興に係る取組に多様な主体・多世代が参加していること
条件2 次の項目のいずれかに関する取組が優れた棚田であること
- ①農産物の供給の促進
- ②国土の保全、水源の涵養
- ③自然環境の保全
- ④良好な景観の形成
- ⑤伝統文化の継承
- ⑥棚田を核とした地域の振興
以上を基準とし、つなぐ棚田遺産選定委員会により選定されました。
これを受けて農林水産省は令和4年3月に「つなぐ棚田遺産」271地区(177市町村)の認定を行いました。
鹿児島県内のつなぐ棚田遺産選定地区
鹿児島県内では、下記の4箇所がつなぐ棚田遺産に選定されております。